文人の理想とする「万巻の書を読み、万里の道をゆく」の言葉通りに生き、89歳で生涯を終えた富岡鉄斎(1836-1924年)は、近代日本を代表する文人画家として知られています。青年時代から、儒学や国学などを学びながら書画を深め、在野の文人として、数多くの作品を遺しました。
こ文人画は、詩書画の一体化した境地を表す絵画世界であり、万巻の書を読み各地を旅して詩想を練って成る奥深い芸術です。鉄斎は親しみのある表現方法によって、思いのままに現代の私たちをそうした世界に誘い込んでくれます。圧倒されるような力強い筆墨と大胆な構図の鉄斎の絵は古さを感じさせず、20世紀の近代絵画と比較しても違和感なく鑑賞することができます。ユーモアや機知に富んだ感性を持ち合わせていた鉄斎は、聖人や高士たちを世俗的に捉えたり戯画化して人間の様々な営みを生き生きと描きました。画中にそうした人達を発見し、その人物にまつわる逸話を知ろうとすることなども、鑑賞のひとつの楽しみとなります。その流派にとらわれない自由な画境は、今日でも新鮮な魅力をたたえています。70年にわたる鉄斎の画業には、「年齢を重ねればこそ開けてくる表現世界」と言ってよい軌跡が見られます。良しとするものは何でも学び取った鉄斎の気風や、年齢を重ねることによって生まれる味わい深い独自の画境が楽しめます。
本展覧会は、鉄斎に魅せられたコレクターの秘蔵コレクション約60点によって、初期から80歳代の円熟した境地に到るまでの画業をたどります。鉄斎が晩年の楽しみとして作った煎茶道具の4点も含まれています。
会期
2004.1.24 [土] - 3.21 [日]
休館日
月曜日、2月12日(木)
開館時間
10:00~17:30 (入場は閉館の30分前まで)
観覧料
一般900円(720円)、大高生720円(580円)
※( )内は20名以上の団体料金。
※中学生以下と65歳以上、障害者手帳をお持ちの方(付き添い1名を含む)はいずれも無料です。展覧会入場時に確認いたしますので
・65歳以上の方は、年齢を確認できるもの(運転免許証、健康保険証等)をご持参ください。
・障害者手帳をお持ちの方は、手帳をご持参ください。
主催
埼玉県立近代美術館、読売新聞東京本社、美術館連絡協議会
後援
テレビ埼玉
企画協力
E.M.I.ネットワーク
協賛
花王株式会社
協力
JR東日本大宮支社